プロセスとしてのスクラムとセル生産方式の違い

アジャイルとセル生産方式 - Jamzzの日々」で動機と効果の観点でアジャイルセル生産方式の類似性を書きました。
同時に私個人的にはプロセスとしてセル生産のアイデアを流用するつもりはないとも書きました。
この点についてもう少し補足しておきたいと思います。

まず誤解がないように言っておきたいのですがソフト開発のプロセスにセル生産を流用するというのは非常に現実的で効果が期待できるアプローチだと思います。
特に作業分担という視点で見ればほとんどアジャイルと言えると思います。
私も従来の計画駆動型の手法と徹底的なアジャイル手法の中間として非常に興味のあるところです。
ただ今の私はアジャイル手法、特にスクラムをベースにしたプロセスの検証に精いっぱいで他には手が回らないというのが正直なところです。

さて、それでは私が考えるプロセスとしてのスクラムセル生産方式の違い何かということですがそれは一言で言えば「自己組織化」がプロセスに組み込まれているかどうかということだと考えています。
もちろんセル生産方式でも合わせて改善活動という「自己組織化」のプラクティスは必須だと思いますし他のどの様なプロセスを採用したとしても改善活動というプラクティスを効果的に作用させることは可能だと思います。
しかしオプションとして実行される改善活動に比べると「自己組織化」の取り組みが正式にプロセスに組み込まれていてその効果を積極的に活用しようとするスクラムでは大きな違いがあると考えています。
つまり私としてはこの「自己組織化」に大きな期待をしているということです。

目先の個別のプロジェクトだけを考えれば根性論だけでも成功する可能性は十分にあります。
あるいは短期的には経済合理性と自尊心を無視した重厚長大な官僚的システムを続けることもできると思います。
問題は中長期的に発展的に維持可能であるかどうかだと考えています。
この問題に対しても上位からのトップダン的なアプローチと現場主導のボトムアップ的なアプローチがあると思いますが私は市場(下流)の変化が激しい今日では現場から遠い上位からのアプローチは非常に困難だと考えています。
それで「自己組織化」が現場主導のボトムアップ的なアプローチによる発展的に維持可能なシステムの一つとして非常に期待しているところです。
自社の取り組みを通じてこの点について検証していきたいと思います。